伝統風水とは
皆さんは『風水』と聞くと、何をイメージされますか?
『金色の財布を持つと金運がアップする』?
『玄関に鏡を置くと恋愛運が上がる』?
このような『風水』は、本来の伝統風水とは大きく異なります。
そもそも、伝統風水は大きく分けると2種類の風水が存在します。
【巒頭風水】と【理気風水】です。
現在の世の中に出回っている風水は【理気”もどき”風水】ばかりですが、本来は【理気風水】よりも【巒頭風水】の方が、人に対しての影響力が強いとされています。
ここでは、伝統風水や伝統命理術の誤解を一つ一つ解いていきます。
そもそも風水とは何なのか?
まずは風水という言葉の語源から探っていきましょう。
風水という言葉の語源は何処から来るのか?
多くの研究者は、西暦276年~324年まで生きた術家:郭璞が記したとされる【葬書】の一節であると考えています。
経曰。気乗風則散・界水則止。古人聚之使不散・行之使有止・故謂之風水。風水之法・得水為上・蔵風次之
出典:郭璞「葬書」
簡単に意味を考えると…
気は風に乗れば則ち散り、水に界せられば則ち止る。古人はこれを聚めて散らせしめず、これを行かせて止るを有らしむ。故にこれを風水と謂う。
要は、エネルギーは風によって散ってしまい、水によって止まる。
古代人は、エネルギーを集め、散じないように工夫した。その方法が風水。
風水の始まりはお墓
墓大夫であった郭璞は、未来栄光に、先祖の供養が出来る吉地を探す方法を葬書に記した。
その方法の一つが、地勢を読み解き、安全な地を見極める事だった。
この時代に始まった風水が巒頭風水と呼ばれる。
山の勢い、川の勢い、風を遮る山の形などから、安全で安心できる吉地を探す技術である。
そして国のための技術へ発展
山の勢い、川の勢い、地形などを読み解き、安全で安心できる吉地を探す技術が応用され、国の警備などに発展していきます。
それが、現在の陽宅(住居)風水への歴史につながります。
そして、龍穴の運気の影響を深く観察し、理気二元論が生まれたとされている。
そして、風水の根底にある『陰陽論』を皆様にご説明させて頂きます。
伝統風水の目的は?
伝統風水は、人間が本来の能力を100%発揮する事が出来る環境を作り出す事を目的としています。
『意識的行動』と『無意識的行動』から、人間の人生は創られます。
伝統風水は、人間の『無意識』に対して、影響を与え、『無意識』による行動に変化をもたらします。
その行動の変化が、個人や一家、家系に対し良い影響を与えるものを吉と考え、悪い影響を与えるものを凶と考えます。
そして『趨吉避凶』を実践し、
- 個人の成功
- 一家の繁栄
- 家計の子孫繁栄
を得る事が、本当の『目的』であるとされています。
伝統風水の目的:無意識を活用し幸せを手に入れる!
伝統風水の二大流派
伝統風水は、大きく分けると巒頭派と理気派に分類できます。
巒頭派!理気派!
という言い方をすると、派閥や相反する物と考えてしまいがちですが、どちらも伝統風水として大切で、信憑性の高いものです。
巒頭風水は、主に地形や建物の形から受ける影響を考えたもので、理気風水は、時間や方位、空間から受ける影響を考えたものです。
どちらが正しい…そういう問題ではなく、巒頭派と理気派の両方を実践するのが、伝統風水と考えるべきでしょう。
現代の風水
現代の風水は、残念ながら『小手先だけ』の風水が多く見られます。
また、風水と無関係なものまで『風水』とされているのが現状です。
なぜ、このような事が起きたのか?
現代のマーケティングの観点から、考えると理解しやすいと思います。
一般的に、世の中に広く受け入れられる為の条件として『簡単に実践できる事』となります。
世の中に受け入れられる為に『簡単に実践できる』という部分に特化して、間違った方向に発展したのが原因であると私は考えています。
例えば…
〇〇に△△を置けば金運アップ!
◇◇に××を配置すれば恋愛運アップ!
というような具合に、『何かをするだけ』で、大きな変化があるという事に大衆は惹かれてしまうのです。
逆に伝統風水は、
- 建物の築年
- 建物の向き(二十四方位や六十四方位等)
- 瞬間の時間影響
- 周辺の地形のあり方
- 住む人の命運
などによって、全ての建物が違う環境にあると考えられ、その建物や個人、一家によって、必要な改善策は異なります。
この時点で、現代の風水と比べて、格段に使用しにくい・・・使用しようと思うと専門家への相談が必須となります。
また、全ての家が違う環境にあると考えると、風水アイテムの販売もかなり難しくなりますし、書籍やメディアへの取り上げもかなり難しくなります。
ゆえに、伝統風水よりも現代風水の方が、世に受け入れられるのでしょう。
伝統風水に対する誤解
伝統風水は、先にも説明したように
- 建物の築年
- 建物の向き(二十四方位や六十四方位等)
- 瞬間の時間影響
- 周辺の地形のあり方
- 住む人の命運
などを、確認した上で、全ての宅が異なった環境を持っています。
また『伝統風水』と一言で言っても、数多くの技法が存在します。
- 玄空飛星派(フライングスター)
- 玄空六法
- 玄空大卦
- 龍門八局水法(乾坤国宝水法)
- 生旺墓水法
- 些氏水法
- 三元通天照水経
- 孔氏玄空寶鑑
- 旺公陽宅神断
ですが、『風水』という一つの概念から出来ているものと、誤解されています。
これらの技法は、どれが正しく、どれが間違っているというものでは無く、どれもが正しい技術であると考えられています。
つまり、全ての技法を重ね合わせて、建物の鑑定をする必要があり、全ての技法を重ねて設計された住宅、それこそが『伝統風水陽宅』と言えるでしょう。
まとめ
簡単に考えると、約2000年前から続く、自然(海、川、池、湖、時間など)との共存共栄を目的とした知識であり技術です。
それは、現代でも何ら変わる事無く続いています。
自然というと、野山をイメージするかも知れませんが、風水でいう自然とは、都会(人間が作り出したもの)も含めて『自然』と捉えます。
今ある全てのものとの『共存共栄』をはかる為のものが、本当の伝統風水なのです。
良くある質問
風水とは、占いの一種ですか?
『占い』の定義を何にするかだと思います。
中国五術の中で、風水は相術に分類されます。
占いという言葉の語源を考えると、占いは『卜術』に入りますので、風水と占いは全く別のものと考える方が良いでしょうね。
風水に根拠はありますか?
伝統風水の根拠となっているのは、現在にまで残る古典が根拠となります。
ですが、その根拠も『迷信』と捉えるべき内容や、情報が流布しない為の仕掛けと捉えるべき内容が入り乱れています。
そういった内容は、古典内のロジックを検証し、根拠の有無を探します。
また、科学的根拠と考えると、証明されているものと証明されていないものがあるというのが、正しい答えでしょう。
わかりやすい例でいうと、『満月の人間に対する影響』について、様々な科学的研究が行われていますが、影響のあるないは、時代によって変化しますし、現代では一応影響があるというのが定説になっています。
ですが、因果関係については、わかっていないのです。
伝統風水では、月の満ち欠けや、太陽の動き、北斗七星の動き、などを基準にしている事が多いのですが、科学的な因果関係までは、わかっていないというのが実際の話ではないでしょうか。
伝統風水師 小林蔵道
東洋の伝統を重んじ、和魂漢才スタイルで人間の幸せを創造。
京都に風水専門店を構え、年間300件以上の風水、四柱推命鑑定や、目標達成のためのプログラムを開催。テレビやラジオにも出演。
実は20代まで占い嫌いでしたが、巷で知られているのとは違う「本当の風水」を知り、現在は専業の風水師です。
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プロフィール
伝統風水師 小林蔵道
東洋の伝統を重んじ、和魂漢才スタイルで人間の幸せを創造。
京都に風水専門店を構え、年間300件以上の風水、四柱推命鑑定や、目標達成のための和風水プログラムを開催。テレビやラジオにも出演。
実は20代まで占い嫌いでしたが、巷で知られているのとは違う「本当の風水」を知り、現在は専業の風水師です。